ボンダイビーチと読書の喜び
共有
旅先で偶然、素晴らしい本に出会うことほどワクワクするものはありません。
最近、シドニーのボンダイビーチを訪れたとき、静かな通りにひっそりと佇む、小さな古書店カフェに入りました。通りに出された小さな看板がなんとも魅力的で、店内に足を踏み入れると、古い紙の香りと、淹れたてのエスプレッソの香りが混ざり合って私の心をくすぐります。

店内でいちばん居心地のよさそうな肘掛け椅子にからだを沈め、壁中を埋め尽くさんばかりの本棚を眺めていると、サーフィンの歴史について書かれたいくつかの本が目に留まりました。ボンダイビーチはサーフィンの名所として知られ、カフェは海から歩いて10分もかからない場所にあります。ページをめくると、荒波に挑んだ人々の物語や、象徴的な海岸線の写真がいくつも目に止まりました。日本にいる時だったら、おそらく手に取らなかった本だと思います。それなのに、不思議とその時は、手に取るのに完璧な一冊に思えました。
旅先で気に入って買った本を家に持ち帰っても、急にどこか色あせて感じられ、興味を失ってしまうことがあります。まるでその本と、その本が置かれていた場所が結びついているときにだけ魔法が生まれ、家に帰る途中、魔法が解けてしまうかのように。

旅とは、ただ名所を巡り、美味しいものを食べ、お土産を買うことだけが目的ではありません。
ときには、運命に導かれるかのように一冊の本に引き寄せられ、その場で時間を忘れて読みふけってみる。その一期一会の本との出会いの中に、旅の大きな喜びを見出すこともあるかもしれません。